北九州南東部に連なる 高さ900メートルの福智山系を水源とした黒川は、福岡県北部を流れる一級河川遠賀川の支流です。
 黒川の特徴は、1950年代に完成した畑貯水池から、新幹線や都市高速道路の下を通り住宅地の中を流れて、約4キロメートル先中間市で遠賀川本流と合流します。このような環境で自然に自生発生するホタルは、全国でも珍しい地域と云われています。
 1960年代の高度経済成長期に、合成洗剤を含んだ家庭排水と、農薬による水質汚染公害で著しくホタルが減少しました。その後下水道整備が進み、周辺農地で散布する農薬の改良が行われ、使用する量も減り、ホタルが再び増加を始めました。
 この環境を後世まで残そうと1992年黒川の流域住民で「香月・黒川ほたるを守る会」が
設立され、ホタルの棲みやすい環境作りの活動が始まりました。畑貯水池の影響で、年間を通じて水量が比較的安定し、流れが緩やかになった為に、土砂が適度に堆積し、ホタルの幼虫が生息しやすい環境となりました。
 ホタルの飛翔区間は、川幅約20メートル、水深は約60センチメートルで、水際から堤防までは土の所が有り、自然に生える植物で形成されています。これら植物の枯れた物は川の中を流れカワニナの餌となっています。 
 黒川には、ゲンジホタルが生息し易い環境が整っています。特に環境が整っている畑貯水池から三条橋間の約2キロメートルでは、最盛期(5月下旬から6月上旬)に、約5,000匹以上のゲンジホタルの飛翔する姿が観賞出来ます。
 また、黒川にはゲンジホタルやカワニナ以外にも、絶滅危惧種のスジシマドジョウをはじめ、メダカ、エビ、ハヤ、ドンコ等、沢山の淡水生物が生息しています。



香月・黒川の特性